運動プログラムの基本的な考え方|全体の流れと原理・原則
運動の流れ
運動をする時の基本的な流れとしては
① 準備運動(ウォーミングアップ)
② 筋トレ(レジスタンストレーニング)
③ 有酸素運動
④ 整理体操(クールダウン)
という順番で行います。
これはあくまでも基本的な順番で、長期間ほとんど動いていなかったという方は①の準備運動で体操のみを行う場合もありますし、①準備運動+②筋トレだけを行う場合もあると思います。それぞれの体力、目的に合った選択が大切になります。
運動プログラム(FITTの原則)
まず初めに①~④の流れに合わせて具体的な内容を決めていきます(運動プログラム)
決める内容は次の4点(FITTの原則)から見ていきます。
① 種目(T:type of exercise)
② 強度(I:intensity)
③ 持続時間(T:time or duration)
④ 頻度(F:frequency)の4点です。
種目
筋トレ(レジスタンストレーニング)でいえばスクワット、フロントランジなどの具体的な運動名、マシンでいえばトレッドミルやバイク等、体操でいえば大きく分けるとラジオ体操やみんなの体操等、細かく分けると膝の屈伸や肩のストレッチといったように具体的な運動の名称を示します。
強度
筋トレであればマシンの重りの重さ、有酸素運動であればトレッドミルの場合は歩行速度や傾斜角、自転車(バイク)なら回転速度やペダルの重さになります。
持続時間
何分間その運動を行うかということになります。
頻度
筋トレであれば○○回を1セットとしてインターバルを挟んで何セット行うか、有酸素運動であれば○○分のバイクを○○回/日行うかということになります。
1日当たりの内容で考える場合もありますが、毎日運動を行うことができない、または週に何回できるか分からないという方は、1週間当たりの合計として持続時間や頻度をを決める場合もあります。例えば1週間でバイクを合計60分行うとか筋トレのマシンのレッグプレスを1週間で5セット行うといったように決めておきます。
更にFITTを決める上で考慮すべきことがいくつかあります。
それはトレーニングの3原理、5原則です。
トレーニングの3原理
トレーニングの3原理というのは
① 過負荷の原理
② 可逆性の原理
③ 特異性の原理
というものです。簡単に以下に説明すると、
過負荷の原理
日常生活で必要とされる筋力や体力は、それ以上の負荷をかけなければ向上していかないということを意味しています。
可逆性の原理
一定の頻度でトレーニングを継続しないと元の状態に戻ってしまうということです。よく言われているのが週に1回の運動では現状維持程度。2~3回以上行ってはじめて向上していくといわれています。
特異性の原理
トレーニングはその種目や負荷のかけ方、動かし方等によって効果が変わってくるということを意味しています。同じ重りを使ったトレーニングでも、筋力(筋収縮力)を向上させたい場合と筋持久力を付けたい場合ではトレーニングの方法も変わってきます。
トレーニングの5原則
トレーニングの5原則というのは
① 個別性の原則
② 全面性の原則
③ 意識性の原則
④ 漸進性の原則
⑤ 反復性の原則
というものです。
個別性の原則
その人の個別的特徴・特性・状態に合わせてトレーニングを行うということです。その人の身体の状態や疾患の特性、目標などによってトレーニングの内容は変わってきます。
全面性の原則
全ての体力要素(注1)をバランスよく向上させる。また、身体の特定の部位だけでなく全身を鍛えるという原則です。例えば、腕の力を付けたいと二の腕(上腕二頭筋)だけ鍛えても実際の動きでは拮抗筋(反対の作用をする筋肉)である上腕三頭筋も鍛えなくては安定した仕事はできないですし、動きの土台となる肩回り、更には体幹部、脚部を鍛えない事には重いものを持ち上げることもできません。
(注1)…体力要素:全身持久力、筋力・筋持久力、柔軟性等
意識性の原則
何のためにこのトレーニングをするのか?どこに効かせているのか?を意識しながらトレーニングすることで効果が高まります。トレーニング中は効かせたい筋肉を意識することがとても大切です。
漸進性の原則
適切に運動していると、その負荷に身体が適応してきます。従って、運動を続けていると運動強度は少しずつ上がっていきます。同じ負荷でトレーニングを長期間継続すると身体が慣れてきてしまい、以前ならきついと感じていた運動も軽く行うことができるようになりますが、その効果は徐々に薄くなってきます(過負荷の原理が効かなくなってくる) そのため、無理のないペースで少しずつ負荷を増やしていく必要があります。
反復性の原理
トレーニングは継続的に行うことで効果が上がります。逆に言えば継続してやらないと効果は期待できないということになります。
ここまで運動プログラムを考える上での原理・原則について説明してきました。次に具体的にプログラムを決めるには「どの運動がどういった効果をもたらすのか?」「運動負荷(強度)を決めるにはどうしたらよいのか?」 といったことも知っておく必要があります。
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